オープンクリニック


オープンクリニックについて

会員のクリニックを見学し、それぞれのクリニックの持っている特徴、院長先生の考えているコンセプトなどをお聞きし、さらにその科の臨床的ノウハウを公開していただくことを目的に始めたものです。

軽い食事(サンドイッチ、チーズ、スナックなど)と、飲み物(ビール、ワイン、ジュースなど)を 用意しました。

オープンクリニックについての記事です


次回のオープンクリニック
 ◇月◇日(△曜日): ○時○○分より
「未定」
 未定
  • 場所:未定
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    第一回オープンクリニック

    「いなみ小児科」

     院長 稲見 誠先生

    日時:平成7年1月18日  

    第二回オープンクリニック

    「神津内科クリニック(内科、神経内科)」

     院長 神津 仁先生

    日時:平成7年5月10日  

    第三回オープンクリニック

    「石綿クリニック(内科、レディースクリニック)」

     院長 石綿宏敏先生

    日時:平成7年6月21日  

    第四回オープンクリニック

    「元谷整形外科」

     院長 元谷智敬先生

    日時:平成7年7月27日  

    第五回オープンクリニック

    「斎藤クリニック(耳鼻科:神経耳科)」

     院長 斎藤雄一郎先生

    日時:平成8年1月13日  

    第六回オープンクリニック

    「秋元クリニック(外科:消化器外科)」

     院長 秋元 博先生

    日時:平成8年4月3日  

    第七回オープンクリニック

    「梅ケ丘産婦人科(不妊外来、体外受精)」

     副院長 辰巳賢一先生

    日時:平成8年5月23日 

    第八回オープンクリニック

    「島津メディカルクリニック(外科、血管外科)」

     院長 島津盛一先生

    日時:平成8年6月18日   

    第九回オープンクリニック

    「香川内科クリニック(消化器内科)」

     院長 香川隆男先生

    日時:平成8年7月25日   

    第十回オープンクリニック

    「鴻上内科医院(消化器内科)」

     院長 鴻上健一先生

    日時:平成8年10月16日 

    第十一回オープンクリニック

    「亀井クリニック(神経科・内科、『有床診療所』)」

     副院長 亀井真一郎先生

    日時:平成8年12月12日 

    第十二回オープンクリニック

    「下北沢メンタルクリニック(精神神経科)」

     院長 高橋秀雄先生 副院長 高橋英子先生

    日時:平成9年1月29日 

    第十三回オープンクリニック

    「吉川内科小児科病院(地域の小病院)」

     院長 吉川彰一先生

    日時:平成9年3月12日 

    第十四回オープンクリニック

    「世田谷一丁目整形外科(整形外科)」

     院長 石川 勝先生

    日時:平成9年4月23日 

    第十五回オープンクリニック

    「寺田医院(内科・皮膚科)」

     院長 寺田 正先生

    日時:平成9年10月9日

    第十六回オープンクリニック

    「山崎整形外科(整形外科、リウマチ・脊椎外科)」

     院長 山崎幹男先生

    日時:平成10年2月4日

    第十七回オープンクリニック

    「赤堤クリニック(内科・循環器、心エコー、漢方医学)」

     院長 長田次夫先生

    日時:平成10年3月19日

    第十八回オープンクリニック

    「近藤整形外科(整形外科・外科・内科・リハビリ・デイケア)」

     院長 近藤信和先生

    日時:平成10年4月14日

    第十九回オープンクリニック

    「小倉病院(地域の良質な中病院)」

     院長 梅田耕明先生

    日時:平成10年7月14日

    第二十回オープンクリニック

    「西クリニック(デパートの中のグループ診療)」

     院長 西 恵吾先生

    日時:平成10年10月20日

    第二十一回オープンクリニック

    「種市歯科医院(歯科診療とチャレンジする歯科経営)」

     院長 種市良厚先生

    日時:平成11年4月15日

    第二十二回オープンクリニック

    「小森クリニック(消化器専門医の開業)」

     院長 小森直起先生

    日時:平成11年6月25日

    第二十三回オープンクリニック

    「つだ小児科クリニック(小児科専門医の開業)」

     院長 津田正彦先生

    日時:平成11年9月14日

    第二十四回オープンクリニック

    「菅外科整形外科(外科系父子二代の地域医療)」

     院長 菅 正剛先生

    日時:平成11年10月27日

    第二十五回オープンクリニック

    「榊原クリニック(住宅街での美容外科)」

     院長 榊原維聡先生

    日時:平成11年12月6日

    最新オープンクリニック

    「間宮泌尿器科クリニック(大学助教授から地域医療へ)」

     院長 間宮良美先生

    日時:平成18年3月11日


    「いなみ小児科」

    [住所:世田谷区下馬3-22-13、TEL:3421-4885]
    【短報】淡い色調の院内は子供の好みを意識していて、待合室には滑り台を置いたプレイルームも備えられている。アレルギー疾患(小児の喘息、アトピー性皮膚炎など)に対しては、イタリア製のネブライザーを家庭に常備させるとか、超酸性水を用いたり、漢方薬の入浴など、先生独自の対応をしておられる。小児科医療は、急性疾患が80%を占め、特にかぜ症候群が主たるもの。しかし、守備範囲はかなり広い。患者は子供であるが、若い母親への対応が重要である。そのためにも、院内で行う「母親学級」や勉強会などを開いている。小児の緊急疾患として、腹痛・発熱・脱水にたいする対処が大切になる、とのこと。小児科専門の開業医は、実際には少なく、最近のお母さん方の「本物指向」によって、患者数はうなぎ上りに増加の一途を辿っている。一日200人を超す外来を日常的に診ている稀な診療所の一つである。

    「神津内科クリニック(内科、神経内科)」

    [住所:若林1-18-10、みかみビル2F、TEL:5481-4114]
    【短報】「神津内科クリニックの概要」を参照のこと。

    「石綿クリニック(内科、レディースクリニック)」

    [住所:下馬2-21-16、TEL:3412-6749]
    【短報】一階に内科とレディースクリニック、二階に理学療法のスペースを大々的に確保したレイアウト。患者さんに対するインフォームドコンセントを意識し、常に必要な医療情報をやさしく丁寧に説明するために、先生が自分で作った説明図や表を診察室にたくさん用意しておられた。日本大学医学部付属駿河台病院で、超音波室室長を長く務めていた経験を活かし、最新鋭のエコー診断装置を 用意。また、漢方薬による治療を積極的に取り入れている。

    「元谷整形外科」

    [住所:上北沢4-17-4、TEL:5317-5899]
    【短報】駅のすぐ近くで、コンビニエンスストアの真前に位置している診療所は、人の流れを十分意識した場所の設定となっている。通勤者、近隣住人ともにアクセスがよい。理学診療のスペースは非常に広く、器械の台数、スタッフの人数からいって、一度に多くの患者さんを診療可能となっている。スポーツ外傷を専門医として診療。しかし、あまりに患者数が多すぎて、先生のプライベートライフが貧困化しているのが問題とのこと。ここらへんは、一人で診療をしなければならない開業医師にとっては、しっかり認識して無理のない人生設計を作る必要がありそうだと指摘された。

    「斎藤クリニック(耳鼻科:神経耳科)」

    [住所:桜上水5-20-11、TEL:3306-1133]
    【短報】世田谷区の耳鼻咽喉科医としては、最新の機器を備えているクリニックとして出発。顕微鏡下の鼓膜診療、喉頭ファイバースコープによる観察(Video撮影あり)などを見せてもらうと、従来の額帯鏡のみの前近代的耳鼻科診療を行うことは、耳鼻科専門医として許されないだろうと思わせるほどである。小手術も行い、その様子は患者さんがカラーモニターを通して見ることが出来る。画像を直接患者さんに見てもらうことが、最も説得力がある、とのこと。神経耳科は、「めまい」と「平衡障害」を診療する科目。神経耳科専門医が診れば、メニエル症候群という診断名はあり得ないとの指摘は、日常診療を反省する材料にもなった。

    「秋元クリニック(外科:消化器外科)」

    [住所:代田1-45-3、TEL:5430-0008]
    【短報】自分の土地を有効に使って、都心でありながら地方都市のクリニック並みの医療設備とアメニティーを実現させた、外科医が地域で開業する際の一つの見本となるクリニックと言って良い。開業に合わせて勤めていたope室の看護婦さんに常勤で来てもらい、小手術や患者さんの容態の急変に十分対応できる陣容を備えた。上部・下部消化管ともに内視鏡検査はすべて麻酔下で行い、苦痛を一切与えないので評判が良い。これも外科医としての術後管理のノウハウがあって初めて出来ることである。在宅医療は出来るだけ行わないつもりとのことだが、これは消極的な発想ではなく、「外科医は内科の先生が在宅医療を行う際の後方支援に徹するべきで、病院内で腕を奮うことがベスト。だから、胃瘻造設、気管切開、IVHの確保など、なんでも依頼して欲しい」とのこと。外科という専門分野で臨床経験を豊富に積んだ先生の"重み"を感じる言葉である。先生のこの理念は、今後地域の専門医が取り組まなければならない「高度チーム医療」にとって、重要な示唆を含んでいるものと言える。

    「梅ケ丘産婦人科(不妊外来、体外受精)」

    [住所:梅丘1-33-3、TEL:3429-6036]
    【短報】義父の小山先生とともに、この少子化の時代に逆行するかのように、全室個室の近代的な産婦人科有床診療所を2年前に新築した。すでに多くの周産期医療を手がけ、体外受精に関しても日本のリーダー的な存在として活躍している。陣痛誘発剤は使わず、お産は自然分娩で、という京都大学医局の方針を貫いているため、明け方に最も多く出産するとのこと。このため、自分のための自由時間が少なくなっているが、地域医療に傾けた信念でそれをカバーしている先生の姿は、自然体でとても清く見えた。週に一回は、自分の所属しているアイスホッケーチームで2時間ほどの練習を欠かさないということで、開業していても時間をうまく使えば多くのことが出来るという典型を見せていただいた気がした。また、顕微鏡下で見る受精卵には一同感動した。外来診療の殆どに、経膣的超音波エコー診断を行っている。

    「島津メディカルクリニック(外科、血管外科)」

    [住所:北沢2-22-7、TEL:5430-5556]
    【短報】場所は、下北沢の駅からすぐの瀟酒なビルの一階にあり、モダンな外観と機能美を備えた、新しいタイプのクリニックである。設計は、現代建築を代表する一流の設計家にお願いしたとのことで、内装の角々、シェードの色彩の一つ一つに至るまで、綿密に計画された素晴しい室内設計となっている。血管外科として下肢静脈瘤の日帰り手術を始めたのは世田谷ではかなり早い。もちろん、その他の外科手術も技術は一押しだ。今後は、積極的に自分のポリシーやカラーを押し出して、独自なクリニックを作り上げていくこうした傾向が、シティー派の若い医師の間には益々強くなっており、これが今の日本の開業医シーンを熱くしているようだ。

    「香川内科クリニック(消化器内科)」

    [住所:粕谷3-10-12、TEL:3305-3723]
    【短報】香川先生は、日本医大の第三内科の講師として研究と教育に活躍していたが、教授の交代によって、内視鏡検査の専門医としての腕を存分に奮える環境から遠ざからずを得なくなり、「それならいっそのこと開業しようか・・・」と心機一転、地域医療の道に踏み出したとのこと。全く右も左も分からない開業準備を、知人や友人が大いに協力してくれたのは言うまでもないが、市場調査をした結果が当地だったとのこと。こうした先生の開業は、大学病院のスタッフとして働いている医師が、開業する際の典型的なパターンと言える。まだ開業8カ月という段階ではあるが、着実に地域における消化器専門医としての地位を築き始めた。しかし、住民のニーズをまだ十分に把握しきれていないこと、医院への患者さんの誘導や宣伝、また在宅医療をどのように導入して行ったらよいか、等々解決して行かなければならない問題が山積している。高価で高性能な電子スコープや、機能的な最新のレントゲン機器を導入しているこうしたクリニックは、この地域では他にはなく、遠くへ行かなくても、大学病院と同じレベルの診療が受けられるというのに、それが知られていないのは残念である。患者さんににとっても、医師にとっても、こうした情報が華美にでなく適切に流れることが、いかに重要なことか、今後考えて行かなければならない課題である。
    ここはまた、ヘリコバクター・ピロリ菌感染症の治療を積極的に手がけている、数少ない医療機関の一つである。日本内科学会認定内科医、日本消化器内視鏡学会認定専門医。日本消化器内視鏡学会関東地方会評議員。日本消化器病学会認定医。日本消化器病学会関東支部会評議員。

    「鴻上内科医院(消化器内科、循環器)」

    [住所:世田谷区梅丘1-11-3、TEL:3420-5219]
    【短報】鴻上先生の父上が早く亡くなられたため、25才という超若手のうちに開業することになったとのことで、かなりの苦労があったと思われるのに、とても明るく、信念を持った臨床医としての姿に感動を覚えた。先生は卒後、東邦大学の第三内科に入り、不整脈と大腸疾患に興味を持ち研修を行う。家業の医業と医局研修の二つのわらじを履いての勉強は大変だったようですが、「同級生に負けないように、臨床の腕を磨いた」という先生の言葉を聞くと、当り前のように医局の中で自由に研究・教育・臨床の道を濶歩していた医師は、その幸運に感謝しなければならないだろう。
    さて、新装なったクリニックは、エントランスの車寄せからして、患者さんにとてもやさしい表情を見せている。今までのスリッパ履きをやめて、靴のまま院内に入れるようにした。意外に若い娘さんが、上がりかまちでブーツに足を入れるのが大変そうだった、と先生。今ではそうした光景にはお目にかかれない。ベッドには、ふかふかのタオルシーツが敷かれている。背中が冷たいのでは、という、これも先生のやさしさである。大腸疾患に対する先生の姿勢は、注腸造影、大腸ファイバーをクリニックレベルでやっている、というところにも現われている。基本的に大腸が好きなんですね、という先生。水平な病院としての世田谷区若手医師の会の大切な専門医である。

    「亀井クリニック(神経科・内科、『有床診療所』)」

    [住所:世田谷区三宿1-8-19、TEL:3413-7077]
    【短報】世田谷区の開業精神神経科医のパイオニアとして、父康一郎先生が始めた精神神経科専門のクリニックを、日本医大の循環器科で、不整脈治療の研究をしていた真一郎先生が、副院長として赴任、五階建ての立派な有床診療所としてリニューアルしたのが現在の亀井クリニックである。全室個室の14床。タイプ1が15000円、タイプ2が20000円、タイプ3が25000円のバス・トイレ付。大学病院の一般個室よりずっと広く、清潔で、窓には障子が入れられているなど、とてもアットホームな感じのする病室である。ここでは、多少の医療的処置を必要とする患者さんも受け入れる準備があり、世田谷区で実施している「医療用ショートステイ(公費負担)」のベッドとしても広く区民に活用されている。また、真一郎先生は熱心なキリスト教徒であり、在宅医療や、末期医療に全身全霊を打ち込んでいられる姿は、とても清いもので、その熱心さには心打たれるものがある。外来診療には、最新の機械類を活用し、非観血的酸素飽和度測定装置(サチュレーション・モニター)、鼓膜体温計(3秒で深部体温が計れる)、ホルター心電計、24時間血圧計、在宅医療のハイテクマシンである携帯型放射線(レントゲン)診断装置、あるいは救急患者に対応するための蘇生器、気管内挿管チューブなども用意している。こうした、そのまま地域医療の中核と成りうる陣容を備えた背景には、「総合病院に負けない」という先生の意気込みを感じる。

    「下北沢メンタルクリニック(精神神経科)」

    [住所:東京都世田谷区代沢2-31-18、山渓ハイツ1F、TEL:5430-8125]
    【短報】精神科の開業は、他の診療科に比較すると非常に少ないようだ。しかしながら 、他科の診療にとって、サポートとして最も必要な科が「精神科」であることは論を待 たない。精神科医の数そのものが少ない現状で、病院から外に出てくる医師が少ないの も当然であるが、地域医療の質を向上させるためには、高橋先生のように、若手の働き 盛りの精神科医が開業することを、我々は諸手を上げて賛成しかつ応援したい。今回は、 精神科医の開業のパターンやノウハウをopen mindで紹介していただいた。
     高橋先生は、最初心理治療を行う精神分析医を志していたが、友人からその治療の限 界を知らされ、それなら、と一念発起、横浜市大の医学部に入り直したというユニーク な経歴をもっている。固定されない広い視野で事物を捉えることを、生まれつき備えて いる常識人は世の中には少ないが、先生はそうしたバックグラウンドを持って患者さん に接している数少ない医師の一人だろう。誰も声に出しては言わないが、高橋先生が精 神神経科の専門医としてここ世田谷の地に開業したことは、地域住民にとって大変幸運 なことであると言って良い。特に、先生は精神科医というよりも、「依存症治療医」と しての立場を取っていることから、薬物依存(眠剤、覚醒剤、ニコチン、アルコール等 )に対してのノウハウを多く持って治療に当たり、そこから派生するadult child(AC :アルコール依存症の親を持つ子供が、感情表現の出来ない無感動な精神構造を持って しまうこと)の問題なども深く掘り下げ、人間の弱さ、脆さを巧みに治療する技術を磨 いているのに感心する。
     下北沢の駅近くクリニックへの導入部は、意外に分かりにくいが、精神科を訪れる患 者さんの心理からすると、この分かりにくさが救いになっているようだと、笑いながら 話す先生に、患者中心の物の見方を改めて教えられる思いであった。「お金は掛かって いません」と公言するだけあって、殆ど何の機械も備えていないが、コンピューターや 、COモニターなど、先生の診療に必要なものは全て揃っていると言って良い。特に、I nternetのhome pageを持って、依存症やACの啓蒙、在宅精神医療、そして研究にと、 フルに活動している姿は、新しい精神科開業医像を見る思いがした。頼もしい我々の味 方である。

               

    「吉川内科小児科病院(地域の小病院)」

    [住所:世田谷区松原3-27-5,TEL:3323-0661]
    【短報】吉川内科小児科病院は、初代の真麿先生が無床診療所から有床診療所へと発展させ、息子の吉川彰一、弘二、昌男の三先生がその後を継いで、地域で最も信頼される小病院へと発展させた。彰一先生は内科、特に消化器と糖尿病を、弘二先生は小児科、特にアレルギーと喘息治療を、昌男先生が循環器内科、特に透析治療を、というように、各先生の専門性を生かした診療科を担当している。それ以外の診療科も年々充実し、日本大学医学部、東邦大学医学部などから選り抜きの臨床医を招聘して外来診療を担当していただいている。昨年新病棟を建築し、6人部屋をなくして、4人部屋までの入院病棟としてアメニティーを強化した。特三類というこの規模の小病院としては破格の看護体制も、院長先生の「地域に最良の医療を実現する」というポリシーのもとに実現したものである。在宅医療への取組も早くから積極的に実施し、院長自ら専用の軽自動車で走り回っており、30人から40人の地域の寝たきりの患者さんを診療している。看護婦や医師の自己啓発を奨励し、毎年3-4題の学会発表を行い、レベルの維持に努めている。こうした良質の小病院が地域にあることで、患者さんを中心としたスムーズな病診連携が出来るのだということを改めて感じる。今後もこうした中小病院が一つでも増えていくことを望まずにはいられない。

    「世田谷一丁目整形外科(整形外科、ペインクリニック)」

    [住所:世田谷1-15-11,TEL:3425-1921]
    【短報】医院の名称については、場所の名前を付けることに多少の異論があるようだが、患者さんはこの名称を見れば、「世田谷一丁目」の看板を背負うことにした石川先生の意気込みを感ずるに違いない。先生は昭和大学医学部を卒業した後、昭和63年には山梨赤十字病院整形外科部長、平成2年には田園調布中央病院整形外科部長を歴任、平成3年当地に開業した。硬膜外麻酔や関節内注入の手技のうまさは超人的で、ビデオテープで見せていただいたプレゼンテーションは素晴しいものだった。 一同実に感嘆した。患者さんは安心して任せているが、頚椎後部から刺入する硬膜外麻酔は、一歩間違ったらかなりのダメージを与える危険な手技で、傍から見ていても大変そうだ。しかし、石川先生は何事もないかのように、ツンツンと刺して、グンと入れてしまった。これだけの技術を持った整形外科医が地域にいてくれるということは、何とも心強い。

    「寺田医院(内科・皮膚科)」

    [住所:世田谷区羽根木2-17-11,TEL:3322-2685]
    【短報】昭和39年に寺田医院の歴史が始まる。そして、地域の良医として活躍していた父上が病に倒れ、その伝統を若い寺田先生が引き継ぐことになった。いつかは継承するとは思っていたが、「その時」は意外に早く、大学を卒業して6年目だった。丁度臨床にも研究にも脂がのり始めた頃で、実は大変戸惑った、と寺田先生は正直に語ってくれる。しかし、実際自院に入ってみると、その内容は放漫経営そのものであったのにまた驚いたという。院内の薬は、製薬会社のセールスマンの言うがままに手当りしだいに買ったようで、種類が多く、当然在庫も多く抱えていた。レントゲン撮影機も古くて、とても診断に十分な写真が撮れているとは思えなかった。先生は当時32才で、博士論文の途中であり、大学の勤務医と開業医の両方二股をかけた状態はかなり大変だったようだ。しかし、丁度その頃「世田谷区若手医師の会」を知り、講演会やオープンクリニックなどの活動に参加してから、会員の先生方の前向きな努力と独自のポリシーを貫く素晴しい姿勢に、どれだけ勇気付けられたかわからない、と先生は語ってくれた。そして、そこで得た知識を十分培い、今年素晴しいクリニックを新規オープン。父上を理事長、ご自分を院長、奥様の都子先生を皮膚科専門医として迎えて、地域に貢献する新しい診療体系を形作った。診療の主体は正先生の消化器で、胃のバリウム検査やエコー検査は勿論のこと、注腸検査も行い、また内視鏡検査は大腸ファイバーまでと、大学病院並みの専門性を発揮している。リハビリにも力を入れ、針灸スタッフを雇用。また、事務職員の近代化も計って、今は万全の体制に。さらに都子先生は在宅皮膚科診療にも力を入れていて、「本当は大学に残りたかった」という学問好きの優秀な頭脳を地域医療のために使って下さる決心をした、と話してくれた。こうした若い優秀な医師たちが、世田谷という町の地域医療を活性化していくことを、大いに歓迎し、また期待したいものである。

    「山崎整形外科(整形外科、リウマチ・脊椎外科)」

    [住所:世田谷区羽根木1-2-2,TEL:5376-3711]
    【短報】井の頭線の代田橋駅のすぐそば、住宅街の入口にクリニックはある。隣に高校時代からの友人である山本先生が、精神科のクリニックを開いているので、二人でマンションの一階を占有するという格好になっている。勿論別々の独立した診療所だが、グループ診療をするような安心感があることは確かだ、と話してくれた。機能回復外科としての整形外科の役割が好きだという先生の、スコーンと抜けたような明るさに、たくさんの患者さんが集まる理由がありそうだ。インフルエンザの予防接種から、ピアスの穴開けまで、患者さんの希望があればやる用意があるとのこと。「整形外科なんて、じいさんばあさんの話し相手みたいなもんですよ」と笑う笑顔に、ホリスティックな医療を実践している、山崎先生ならではのおおらかさを見る気がした。

    「赤堤クリニック(内科・循環器、心エコー、漢方医学)」

    [住所:世田谷区赤堤1-1-4,TEL:5376-1156]
    【短報】玉電山下駅を赤堤方面に少し足を踏み入れてすぐ、並木道の途中右手に瀟酒な長田先生のクリニックがある。「子供の頃から遊び慣れた土地だったから、ここで開業をしてみたかった」という先生の言葉から、地域医療の原点を見る思いがした。勿論、循環器の医師として、地域にいてもその専門性を発揮できるようにと、その下準備は怠りない。各種の心事故に対応できる十分な設備への信頼性は、救急車が一刻を争う患者をまずfirst aidとしてこのクリニックに運び込む、という事実に端的に現われている。今回は、内科以外の先生に対するいくつかの教育セミナーをやっていただいたが、聴診器の使い方、血圧の正しい測り方、心エコーの適用、高血圧の治療と薬剤の選択など、実地医家としての豊富な知識と豊富な経験を生かして、聞く者を納得させる、大変貴重なノウハウを教えていただけた。19名におよぶ大勢の若手医師が熱心に話し合い、別れを惜しんで帰り道についたのは12時近くであった。今回初参加の国立東京第二病院の若手循環器内科医の小笠原先生から、「何かあったら私に電話を下さい。24時間体制でいつでも引き受けますから!」といっていただけたのも今回の大きな「連携」上の収穫であった。

    「近藤整形外科(整形外科・外科・内科・リハビリ・デイケア)」

    [住所:世田谷区梅丘1-13-4,TEL3706-7043]
    【短報】梅ヶ丘駅を南へ降りて、商店街の中ほどに近藤先生のクリニックがある。整形外科の単科の診療所が多い中で、ここでは内科医を招聘して総合医療に取り組んでいる。最近では、平成12年の介護保険をにらんでデイ・ケアルームを増設した。地域のお年寄りを集めた託児所ならぬ「託老所」だが、サービスとしては手の抜けない気苦労の多い仕事だ。近藤先生のポリシーの中には、社会のニードに応じた医療経営、というものがはっきりとあり、我々にとっても勉強になる。近藤先生の外科医としての興味は、機能回復外科であり、自分の好きな道を選ぶためには「大所帯の医局では自由がきかない」ので、形成外科から整形外科へと経験を積んだのはその為でもある、とフランクに語ってくれた。今後の新しい若手医師の選択方法の一つとして、こんな考え方があっても良いのではないだろうか。

    「小倉病院(地域の良質な中病院)」

    [残念ながら、小倉病院は閉院となりました。短報は削除しましたのでご了解ください]

    「西クリニック(デパートの中のグループ診療)」

    [住所:世田谷区経堂2-1-26,TEL3425-0024]
    【短報】日本医科大学の大学院を卒業し、スキルス癌(最も悪性で進行度の強い胃癌)の女性ホルモン受容体の研究で学会から注目されていた西先生は、大学の研究室に残る数少ない医師の一人になるはずだった。それが父上の病気で開業しなければならなかった。最初は開業医になるつもりはなかった。多くの大学勤務の医師が辿る典型的なパターンだった。しかし、ある癌患者さんの診療を通して、かかりつけ医の役割を果たした先生は「町医者もいいものだ」と考えを変える。そして、父上の残した医院(「経堂OX(オー・エックス)」内に開業)を大々的に改装リニューアルし、素晴しく機能的なクリニックに変身させた。今では、一日150人近くを診療する、世田谷区で最も患者数の多い無床診療所の一つになった。当然待ち時間が多くなるので、待合室には、文字放送が流れる設備をさりげなく設置した。薬局は薬剤師を4人揃えて院内で対応している。限られた面積を有効に利用し、見学した会員が感心するほど多くの工夫を凝らしている。設備も一流の機械を十分に装備、処置室の天井には手術室用の大きな無影燈が備えられている。ヘリコバクター・ピロリ菌の治療には、多くの経験を自ら積み上げて、患者さんにその学術的な知識をしっかり還元している。最近、一日あった火曜日の休診日を廃止し、一週間を通じて休みなく診療する体制を作ってしまった。勿論、大学の同僚に診療は手伝ってもらって、西先生が自由な時間を確保しているが、「子供の頃から医者になりたかったから」医療をしていることが楽しくて仕方がない、といった先生に「現代の赤髭」を見るようだ。「医学部浪人」と自己紹介されたが、まだまだ若輩の18才で医学部に現役合格し、そのままストレートで国家試験に合格して医師となったものは、哲学的な思考回路の発達が不十分で、人生経験が乏しいために「病気を見て人を見ない医師」になりがちだ。よくいわれるが、考え方や振る舞いなど、アメリカの医学生が大人に見えるというのは、実際に彼等の医学部入学時の年齢が日本より3-4才上で、医療の意味を良く理解できるようになってから医学知識を受け入れるからだ。西先生が今花開いたのは、医学部浪人したからだともいえる。良医はこうして作られるのだ。

    「医療法人社団厚良会たねいち歯科医院(歯科診療とチャレンジする歯科経営)」

    [住所:世田谷区代田5-34-19,TEL3413-8218]
    【短報】よく揃った設備は、精力的に歯科診療を行う種市先生の戦略的な側面と、患者さんに対する良質な医療を提供しようという意気込みが感じられる。さすがに空手の高段者だ。

    「小森クリニック(消化器専門医の開業)」

    [住所:世田谷区太子堂5-11-4,TEL3412-8770]
    【短報】超音波エコー、電子スコープなど、かつては大きな総合病院でなければ見られなかった検査機器を揃えて、専門医としての確実な診断治療を行っている。在宅医療もこなす、町の良医の一人。

    「つだ小児科クリニック(小児科専門医の開業)」

    [住所:世田谷区世田谷4-5-8、アルス世田谷ネクステージ1F,TEL5477-7736]
    【短報】小子化がいわれる中、あえて都市に開業したのには採算があっての事。稲見先生もそうだが、小児科専門医はむしろ足りなくて、遠くからも患者さんは自動車で来院する。遺伝と代謝の専門家であり、大学では教授にといわれた優秀な小児科医が地域にいるのは心強い。

    「菅外科整形外科(外科系父子二代の地域医療)」

    [住所:世田谷区代田1-1-5,TEL3414-5286]
    【短報】父は消化器外科、息子は整形外科。両先生共に正義感溢れる竹を割ったような性格で、めちゃ明るい。診察机を隣同士に置いて、お互いを尊重しながら診療する様は、微笑ましくもうらやましい。こうしたきちんとした医業継承がなされていけば、その地域の住民は本当に安心して生活が出来る。お父さん先生は、在宅医療も大事な事と、今も往診に宅診にお忙しい。

    「榊原クリニック(住宅街での美容外科)」

    [住所:世田谷区宮坂3-15-13,TEL3706-9111]
    【短報】榊原先生は、東海大学の形成外科の出身で、皮膚科の治療を行うと同時に美容外科を専門に診療を行っている。クリニックは住宅街の中にあってひときわ目立つ白亜の殿堂で、中に入ると総大理石張りの床と、内装の素晴らしさに驚く。外見にひけを取らず、先生の診療の腕も素晴らしい。レーザー治療、全身脱毛など、先端の医療を実践。大病院かと思うような手術室も、先生の医療技術を最大限に引き出すために必要なものだ。かなりの部分は保険診療でカバーし、自費診療も(宣伝上手な)大手の美容外科に比べれば割安の感があるのは本当に良心的。

    「間宮泌尿器科クリニック(大学助教授から地域医療へ)」

    [住所:世田谷区北沢2-2-3、エルサント北沢4F,TEL3422-6006]
    【短報】東京医大の助教授という、専門職として脂の乗った技術を、今度は地域医療に生かそうと開業を。奥様がコーディネイトした院内は、下北沢というお洒落な街に良く似合う素敵なクリニックになった。電子カルテを入れ、デジタルレントゲンもフィルムレスでPC上で読むことが出来る。尿流量測定器や膀胱鏡(軟性ファイバースコープ)、前立腺高温度治療器、残尿測定エコーなど、最新の設備が揃っている。男性の患者さんはもとより、女性の患者さんも多いという訳は、落ち着いた間接照明や空気を滅菌してほのかに香る微香性の空気清浄器など、心配りにホスピタリティを感じるからに違いない。尿に血が混じったり、失禁・頻尿などの排尿障害、EDや性感染症など、気軽に相談してほしい。



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